後半の人が戻ってきて、交代するために着ていたエプロンを脱ぐ。
さぁ、これからどうしよう。
残りの一日をどう過ごそう。
……まさか、本当に一緒にまわるとか言わないよね?
神風くんと一緒になんていたら注目の的。
面倒事に巻き込まれるのだけは嫌。
神風くんはまだクラスの女の子たちに絡まれている。
今のうちに逃げてしまおうか。
チャンスとばかりにそっと教室を出る。
家庭科室の方は人がいなかったから、そっちで時間を潰そうかな。
賑わう廊下に背を向けて歩き出そうとした時だった。
「逃げるよ」
「……はいっ?」
わたしは反応する間もなく連れ去られる。
神風くんの逃げ足は早い。
強い腕の力で引っ張られていくわたし。
神風くんの後ろから追っかけていた女の子たちは、いつの間にかいなくなっていた。
「はぁ、はぁっ……なんてことするのっ」
神風くんがやっと立ち止まったのは、あまり使われていない北側の階段下。
息が切れていて、上手く話すことができない。
走ったせいでお母さんがせっかく綺麗にセットしてくれた髪の毛もぐちゃぐちゃ。
あれもこれもみんな神風くんのせいだ。



