強引なキミに振り回された結果、恋に落ちてしまいました。



「約束忘れてないよね?」


「え、約束?」



次こそ教室に入ろうとすると、今度は神風くんに引き止められる。



神風くんと約束なんかしてたっけ?



何も思い出せずぽけっとするわたしに、呆れ顔の神風くん。



「シフト終わったら逃げんなよ」



そう一言言い残して、怠そうに自分のポジションへと戻って行った。


シフトが終わったら……?



「……まさか」



昨日の出来事を思い出す。


教室の真ん中で神風くんが言い放った一言。



"俺、学祭は澪とまわるからよろしく"



確かにそう言っていた。


あれって、その場でついた適当な嘘じゃなかったの?



モヤモヤとしたまま教室へ入り、「遅くなってごめんなさい」と一言謝罪の言葉を添えて食材を手渡した。


その後も神風くん効果でお客さんが途絶えることも無く、お店は大賑わい。


そのおかげか、モヤモヤのことを考えずに無心のまま作業に集中できた。


やっぱり一番人気はいちごスペシャル。


もう何個作ったかわからない。


そうこうしているうちに交代の時間を知らせるチャイムが校内に鳴り響いた。