「えっ、もしかして澪、だよね?」



肩にかけていたであろうカバンが滑り落ちて、目をまん丸くしながらわたしを見て立ち尽くしているのは、玲奈ちゃん。


ちょうど角を曲がって学校へ向かう途中の玲奈ちゃんと鉢合わせしてしまった。


わたしの姿を変えてくれた舞さんと、今もわたしの腕をしっかり掴んでいる神風くん以外にはこの姿を知る人はいない。


玲奈ちゃんがお披露目する最初の人。



「……う、うん」



それにしてもこの一瞬でよくわたしだって気がついたよね、玲奈ちゃん。



「か、かっ……」



わたしが疑問に思いながらも、じっと見られていることが恥ずかしくてどうしようかとそわそわしてしまう。


そんな中、玲奈ちゃんはわたしを見つめたまま、言葉にならない声を出していた。


そして勢いよくわたしに飛びついてきた。


その反動で神風くんの手が外れて、解放される。



「れ、玲奈ちゃんっ」


「可愛すぎるよ、澪ーっ!もともと絶対に可愛いって思ってたけどやっぱり!」



玲奈ちゃんのテンションはまるで昨日の舞さんのよう。



「そ、そんな……」



可愛いなんて言われ慣れなくて、どう返したらいいのかもわからなかった。