「……どうしよう」



この角を曲がれば学校だ。


挙動不審にうろついていると、同じ高校の生徒たちが不審者を見るような目で見てくる。



それもそうだ。



どう見ても同じ高校の制服を着ているのに、学校へ向かおうとせず目の前でこんな行動をしているんだから。



「なーにしてるの?」


「か、神風くんっ」



突然肩を叩かれて驚いて振り向いてみると、そこに居たのはみんなの王子様モードの神風くんがいた。


こんなところで神風くんと話していたら、また女の子たちに何を言われるかわからない。



「そ、それじゃあっ……」



ただでさえ人が多い時間なんだから。



「そっちは学校じゃないけど?」



とりあえずここから早く逃げようと、神風くんを避けて一歩足を踏み出したところで腕を引き止められて捕まってしまった。



「……っ、離して、神風くん」



昨日までとは違う。


わたしの視界を覆うように被さっていた前髪が無くなったことで、目の前にいる神風くんとばっちり目が合ってしまう。


真っ直ぐに向けられる視線に耐えられず、すぐに目を逸らしてしまった。



「逃げようとするのが悪いんじゃない?」



わたしを見てふっと笑う神風くんは悪魔のような顔をしている。


今、近くにわたししか居ないからって……