強引なキミに振り回された結果、恋に落ちてしまいました。




髪の内側から少しずつカラー剤が塗られていく。


塗られたところがひんやりと冷たい。



「染みたりしてない?」


「はい、大丈夫です」



初のカラー体験。


どんな感じになるんだろう。


今まで興味はあってもオシャレな髪なんてしようと思ったことなかったのに、ワクワクしている自分にびっくりする。



「それにしてもびっくりしたなぁ」


「へっ?」



自分にびっくりしているのと同時に舞さんがそんなことを呟いて、一瞬わたしの考えていることがバレたのかと思った。



「あのね、唯斗が女の子を家に連れて来たのなんて初めてなの」


「え、そうなんですか?」



神風くんのことだからたくさんの女の子を連れて来てるんだと思ってた。


ほら、神風くんは認めたくはないけどモテモテだから。



「澪ちゃん、信じられないって顔してる」



舞さんはあははっと声を上げて笑っている。



「いえ、そんなっ……いや、はい、そう思いました……」



神風くんのお姉さんである舞さんの前で神風くんのことを悪く言ってしまうような気がして躊躇したけたけれど、嘘もつけず頷いてしまった。


正直に答えるわたしに、舞さんはまた笑っていた。