「家に帰るんだよね?」
それならわたしの家はこっちじゃない。
「何言ってんの。いいからついて来て」
「ちょっ!」
「俺が澪を変えてやるよ」
わたしの意思はおかまいなし。
逃げ帰らないようにしっかりと腕を掴まれて、神風くんはどんどんとどこかへ進んでいく。
こっちの方は来たことがないから全く道がわからない。
閑静な住宅街を辿って見えてきた綺麗なアパート。
そこで神風くんは足を止めた。
「ここ、俺の家」
「か、神風くんの家!?」
まさか向かった先が神風くんの家なんて……
こんなわたしが神風くんの家に行ったなんてバレたら、絶対無事ではいられない。
悪い予感が頭をよぎってゾッとした。
「まぁ、正確に言えば姉ちゃんの家だけど」
神風くんのお姉ちゃん……?
いやいや、お姉ちゃんだからいいという問題じゃなくて、むしろ意味がわからない。
あたふたしたまま3階の部屋のドアの前まで連れてこられてしまって、心の準備ができる前にそのドアが開かれてしまった。



