予想外のことを言われて、どこから出たのかわからないくらい低い声が出た。
そんなわたしを見て玲奈ちゃんはケラケラ笑う。
だってどう考えてもわたしと神風くんは釣り合わないし、まず苦手な神風くんを好きになるなんてありえない。
「な、ないよ。絶対ありえないよ、そんなこと」
「恋愛はいつ始まるかわからないよ?」
サンドウィッチの最後の一口を口に運んだ玲奈ちゃんは、ご馳走様と手を合わせて立ち上がった。
「所詮は噂だからさ、そのうち消えるよ。……でも、何か進展あったら教えてねー!」
ヒラヒラーっと手を振りながら、玲奈ちゃんは行ってしまった。
進展って……あるわけないよ。
でも、ちょっと玲奈ちゃんのおかげで心が軽くなったかも。
教室に戻って午後からは、また学校祭の準備の時間。
相変わらずわたしの居場所はないし、鋭い視線を向けられるかもしれないけど、気にしないようにすればいい。
学校祭が始まる頃にはみんな忘れてるはず。
「……よしっ」
ポンっと自分の太ももを叩いて、気合いを入れた。