神風くんはわたしの生活を狂わせてくる。


神風くんはすぐに人気者になった。


ホームルームが終わり、休み時間。


チャイムが鳴ると同時に神風くんの机の周りには人だかりができていた。



「……うっ」



それは席に座ったままのわたしを押し出しそうな勢いで。



「ねぇねぇ、神風くんって彼女いるの?」


「放課後一緒に遊ぼうよっ!」



みんな神風くんに夢中。


囲まれているから見えないけれど、神風くんはどんな顔をしているんだろう。



「彼女?彼女はいないよー! そうだね、みんなと遊びたいなぁ」



困っている様子は……なさそう。


すごいなぁ。


わたしとはまるで違う。


住んでいる世界が違う。


そのうち連絡先の交換会も始まって、無事にゲットした女の子たちは宝物を見つけたかのようにスマホを抱きしめてニコニコしていた。



連絡先かぁ。


一応連絡事項の確認のためにクラスのグループに参加はしているけど、個人的に交換している人は数える程度。


神風くんは友達の数が3桁とかいるのかな。


わたしが経験したことのない友達に囲まれて過ごす学校生活。


それをしている神風くんが羨ましい。