校則にギリギリ引っかかりそうな金髪に近い髪の色。


ワックスで自然に遊ばれた髪型。


スラッと制服を着こなす高身長。


100人に問いかければ100人がYESと答えるであろうかっこいいルックス。


まさにモデルのようなイケメン。



そんな転校生が来てしまったから、クラスのざわつきはなかなか収まらない。



先生が「そろそろ自己紹介してもらいたいから静かにしろ」と注意するまでそれは続いた。



「よし、じゃあ自己紹介よろしくな」



先生から転校生へバトンタッチをして、みんなの視線が転校生の男の子に集まる。


わたしならこの集まる視線に耐えられない。


その男の子はこんなの慣れっこだというように堂々としていた。



「俺の名前は、神風(かみかぜ) 唯斗(あゆいと)。友達たくさん欲しいからよろしくねー!」



キラキラとした笑顔はまるでアイドルのよう。


案の定、キャーっと歓声が湧いた。


わたしの第一印象はチャラそうな人だなという感じ。


クラスの端で空気のように過ごすわたしとは真逆の世界にいるような人。


わたしなんて、この人の瞳にすらうつっていないんだろうな。