「ご馳走様」
お父さんが使っていた大きなお弁当に詰められていたはずのおかずとご飯は綺麗に無くなっていて、空っぽのお弁当が返ってきた。
「澪のお弁当、美味しかった」
「喜んでくれてよかった」
渡されたお弁当を受け取って、カバンにしまった。
「ねぇ、澪」
「なに?」
食べるのが遅いわたしは、まだ残っている唐揚げを頬張りながら答える。
「今週末空いてる?」
うん、確かなにも予定は入っていなかったはずだ。
「うん、空いてるよ」
「じゃあ、俺ん家来てよ」
来ない?ではなく、来てと言うところが唯斗くんらしい。
唯斗くんのお家にお邪魔するのは、2回目。
舞さんに髪の毛を切ってもらった時以来だ。
……ちょっと緊張はするけれど。
わたしは二つ返事でOKした。



