「澪のお願いなら仕方ないけど、その代わり俺のお願いも聞いてよ」
「わ、わかった……」
嫌な予感しかしないけれど、何としてでも怒られることを回避したいわたしは従うしかない。
「俺、澪の作るお弁当が食べたい」
「えっ?」
……そんなこと?
心の中ではそう思ってしまった。
だって、唯斗くんの言うことだから、もっととんでもないお願いをされるのかと思ったから。
「それなら───」
時はすぎて、お昼休み。
唯斗くんはわたしのお願いをちゃんと聞いてくれて、珍しくずっと起きて授業を受けていた。
今は、わたしがいつもお昼を食べていた裏庭のベンチに来ている。
「いつも澪ここにいたんだ」
「うん、教室じゃ居づらくて」
それもあるけど、結構この場所も気に入っているから。



