カバンの中に入らなかったピアノ部門賞の賞状を手に持ったままの帰り道。
今日も神風くんは当たり前のように隣にいる。
「神風くん」
「何?」
いつも通り、神風くんの返事は素っ気ない。
「ありがとう、神風くんのおかげだよ」
手の中にある賞状を胸の前で抱きしめて、お礼を伝える。
「俺じゃなくて、澪の努力でしょ?」
そう言う神風くんだけど、ちょっぴり照れているのを隠している。
最近ずっと神風くんを見ていたんだもん。
そんなことはもうお見通し。
普段は素っ気ないのに、不意に優しさを見せて……
素直になれなんて言うくせに、神風くんこそ素直じゃない。
でも、そんなところも───
「……すき」
「え?」
「……えっ」



