「ちょっと、神風くん! 一体どういうつもりで……」



ずっと掴まれていた腕を振り払って、神風くんから一歩距離をとる。


これは自分を落ち着かせるため。



「ずっと澪がヘンだから」


「だからって」


「こうでもしないとちゃんと話さないでしょ、澪は」



そんなにまっすぐ見つめないで。


目を逸らしたいのに、逸らせなくなってしまうから。



「本当になんにもないから」


「本当に?」



わたしが大丈夫だと伝えても、神風くんは疑いの目を向けてくる。


そんなに問われても、言えるはずがない。


神風くんのことが好きでどうしたらいいのかわからない……なんて。



「本当に、大丈夫だからっ!」



ちょうど授業の終わりを知らせるチャイムが鳴って、お昼休みになる。


ちょうどタイミングがいい。



「れ、玲奈ちゃんとご飯の約束してるから……!」



そう伝えて、逃げるように屋上から出ていった。