「澪はもっと自分に自信を持った方がいい」


「……え?」


「もっと素直になっていいんじゃない?ってこと」



神風くんの言うことは、ずっと自分に自信を持てなくて、気持ちを閉じ込めていたわたしにとってすごく難しいこと。



「そんなの……」


「自分の胸に手当てて聞いてみたら簡単でしょ」



神風くんはそうなのかもしれないけれど、わたしは。



「じゃあ、俺帰るから」



そう言って、まだ心の整理がついていないわたしを置いて、神風くんは行ってしまった。


今日は家まで一緒に帰ってくれないんだね。



「……って、なんで悲しんでるの、わたし」



自分がおかしい。


ずっと胸が痛い。


わたし、なんかの病気?


もしかして……わたしは、神風くんのことが。


初めてなんだよ、こんな気持ち。


心臓が全速力で走った後みたいにドキドキしててる。



これが、恋?

わたし、神風くんに恋してる?



でも神風くんはわたしのことを好きじゃない。


さっきもからかわれたばかり。



わたしが初めて知った恋する気持ちは、すごく苦しくて、胸が痛かった。