そのまま神風くんはわたしを置いて帰ってしまいそうになったから、慌てて靴を履き替えて追いかける。



「……な、なんでもは無理だからっ」



それだけは訂正しておきたくて。



「じゃあさ、」



なんて言われるのだろうか。


どんなお願いをされるのだろうか。


神風くんのことだから、パシリとか?



「俺の彼女になってよ」


「……えっ」



それまでまわりの音でザワザワしていたのに、その瞬間何も聞こえなくなった。


頭の中が真っ白になる。


俺の彼女って、どういうこと?


神風くんはわたしのことが、その……



「なーんて、嘘。 本当にからかいがいがあるね」


「うそ?」


「うん、嘘」



ドキドキした。


生まれて初めての告白だったから。


神風くんは苦手なはずで、ただのクラスメイトのはずなのに。


なんでこんなに胸が苦しくなるんだろう。