<続>双星の煌めきは月夜に魅せられて


困ったように笑って、私の頭を雑に撫でた後。

「じゃあな」と今度こそ彼の気配が遠ざかっていった。


「今のは、ずるい……っ」


駅でなんていうことをするんだ。

こんなのされたらまた会いたくなってしまうじゃないか。


嘆きたいことはたくさんあるのに、結局は“好き”という2文字に終着してしまう。


日に増していくこの気持ち。

それと同時に寂しさも募っていく。


……会えないのは仕方ないんだ。

寂しいって言ったら、迷惑かける。


だから別のことをして気を紛らわせよう。









大学の講義まで時間が空いたので、大学の近くにある大きな本屋で暇をつぶすことにした。

最近は胡桃のおすすめの料理本とか、論文で使えそうな本とか、目当ての本を買うために覗いたりしている。


今日は欲しい本があるからそれを買おう。


そうして目当ての棚まで向かう途中、あるものに目を惹かれた。