「「……」」
無言のまま、手を引かれ、帰り道まで導いてくれる。
いつもきっちりセットされてる黒髪が乱れてる……駆けつけてくれたのかな。
「あのね優生、さっき一緒にいた人は簗瀬ハクって言って「ごめん、今は他の男の名前出さないで」
「優生……?」
「月那のことは信頼してる。だから浮気なんてしてないってわかってるけど……」
優生ははぁーっと大きな息を吐いて、前髪を乱雑に掻きあげる。
「あーやだ。月那が他の男とくっつくの無理」
前髪を掻きあげた手で拳を握り、
私を切なく見つめる瞳が苦しそうに揺れる。
「今から……月那を独り占めしてもいい?」
今日は満月で、神秘的な光に皆釘付けになるだろう。
だがその満月すら霞むくらい、彼は魅惑的で艶やかで。
目を細める動作ひとつで簡単に吸い込まれ、溺れてしまう。
熱を帯びた瞳に捕らわれた私の答えはひとつだった。



