終わった……? の?



 あたしの(レイス)の中へと潜って行ったアウラ・クリムゾン。

 (あるじ)として認める? って。

 魔・ギアはマナを選ぶ。一度(あるじ)と決めたらその(あるじ)が死ぬまで離れることはない。

 これは確かに魔道士の塔で習った。書物にそう書かれていた。

 でも。

 あたしには何故か、マギアキャッツアイみたいな身に覚えの無い魔・ギアが居たりしたものだから、そうして選ばれているって気はしていなかった。けど。



 なんだか釈然としない。

 やっぱりさ。最後ほとんど負けてたのに。ね?


 あたしはそのままゆっくりと地上まで降りた。

 アリアが飛んでくるのがわかる。ああ、よかった。大丈夫だった。

 走ってこちらに近づいてくるのは……、

 ああ、アーサー。と、マクシミリアン?

 うーん。どうしよっか。



(ちょっと俺はそろそろお(いとま)するね)

 え?

 レティさま?

(まあね、紅竜までこの中にきちゃって、少し居心地が悪いや。ドラコの奴はここがすっかり気にいっちゃったみたいだから置いていくけどね?)

 え、でも、どうやって?

(ああ。長年ね、自分の(レイス)の操作をしてきたわけなんだよ? ここから姉さんの中に戻るくらいは出来るさ。心配しないで)

 はう。

(まあ、俺の心配よりもね。君は君自身の事もっとちゃんと考えた方がいいかもね。じゃあね)

 そう意味深な言葉を最後にあたしの中からレティさまの気配が消えた。

 あたし自身の事って、なんだろう?

 アウラ・クリムゾンの事かな? やっぱり大変なのかな彼女を自分の魔・ギアとして使うのは。



「マリカ! マリカ! 良かった! 良かった……」

 飛んできたアリア。あたしにそのまま飛びついて抱きついて。

 やっとあたしの事呼び捨てにしてくれた? あは。ちょっと距離が近くなった気がして、嬉しい。

「もう。泣かないのアリア。あたしは無事だよ。これで、終わったんだよ……」

 あたしもその彼女の背中に左手を回して。右手で頭を撫でながら頬擦りして。



 うん。これで。この子をもとの世界に帰してあげることが出来れば万事解決なんだけどな。そんな思考がふっと浮かんだ。



 ——出来るよ!

 え?

 ——出来るよ。わたしなら、跳べるよ! そのもとの世界っていうやつ。

 え、ほんと? アウラ。