リアル彼氏

そう思った時、マリナがあたしの横から教室へと入っていった。


その瞬間、私服の女の子が大股で歩いてマリナへ近づいて来たのだ。


服装が違うから一瞬わからなかったけれど、間違いない。


あの子は昨日の放課後弘志君と一緒に歩いていた子だ。


そう気がついてマリナへ手を伸ばすが、すでに遅かった。


その子とマリナの距離は1メートルに迫っていたのだ。


「あんたがマリナ?」


女の子がその顔に似合わず低い声で言う。


マリナの肩がピクリと揺れたのがわかった。


「誰?」


マリナも負けじと低い声で相手を威嚇する。


「あたしは弘志君の彼女だけど」


女の子は胸を張ってマリナへ伝える。


マリナは今どんな顔をしているのか、ここからじゃわからなかった。