リアル彼氏

マリナはとうぜんうらやましがるだろうと思っていたけれど、「何言ってるの?」と、眉を寄せた。


「え?」


「花火があるのって夏休みでしょう?」


そう言われ、ハッとした。


そうだった。


ついゲームの内容をそのまま話してしまったが、今の時期はまだ花火はしていない。


遊覧船から見られるのはアジサイ公園のアジサイだ。


「ねぇ、本当にデートだったの?」


マリナはいぶかしげにこちらを見てくる。


背中に冷たい汗が流れていくのを感じた。


まずい。


このままじゃ全部が嘘だったとバレてしまう。


マリナが相手だ。


なんと言って笑われるかわからない。