「もちろん」


あたしは大きく頷いてみせた。


「初めてのデートでキ……キス、されたよ」


本当はキスも未経験なあたしはドキドキしながら言った。


ここで動揺を見せてはいけない。


余裕ぶらないとまたマリナに笑われてしまう。


ただゲームの内容を伝えるだけなのに緊張してしまうなんて、自分の恋愛経験の薄さに我ながら落ち込みそうになる。


マリナはそんなあたしに気がつくこともなく、好奇心いっぱいの表情を浮かべている。


「結局この人、どこの人なの?」


それは当然の疑問だった。


近いうちにまた聞かれるだろうと思っていたことだ。


あたしはスマホをポケットにしまい「他の高校の人だよ」と、答えた。


調子に乗って大学生だとか社会人だとか言えば、すぐにボロが出てしまう。


だから、ゲームの設定通り自分と同じ年ということにしたのだ。


もちろん、同じ高校と言うわけにはいなかいけれど。