ゲーム上でもまだ付き合う段階までは言っていないのだから、これくらいの嘘は別にいいだろう。


ゲーム内容があまりにベタなら、それ以降は『なんの進展もなかった』と、言っておけばいいだけだ。


とにかく、今のあたしにはマリナにやり返すチャンスが来たことで頭がいっぱいになっていた。


マリナはどんな反応を示すかな?


想像するだけでワクワクする。


普段から『彼氏を作ればいいのに』と上から目線で言ってくるマリナ。


思い出すだけで胸の奥が重たく、暗くなってしまう。


あたしはぶんぶんと左右に首を振って勢いよくベッドから起き上がった。


その時、一階から「ご飯ができたわよ!」と、お母さんの声が聞こえてきた。


あたしは慌ててベッドにスマホを投げ出して、部屋を出たのだった。