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どうやって自宅に戻ってきたのか、よく覚えていなかった。


マリナが言っていたことが信じられなくて、まだ頭の中は混乱している。


けれど、マリナが説明している時貴也もずっと一緒にいた。


そして「嘘だ」とは一言も言わなかったのだ。


きっと、すべてが本当のことだったんだろう。


あたしは知らない間にスマホをきつく握り締めていた。


自分と貴也との思い出も、すべてマリナによって作られたものだったのだ。


今思えば、貴也が突然あたしに声をかけてきたのはやっぱりおかしかったんだ。


最近楽しそうでいいなって思った。


貴也はそんな風に言ったけれど、あの言葉をもっと疑うべきだったんだ。


あの公園での出来事を思い出して胸がギュッと締めつけられる。


この後に及んでもあたしは貴也のことが好きなのだと思い、下唇を噛みしめた。


本当なら貴也にも復讐してやるところだけれど、事実を知らされたあたしの怒りはマリナへ一直線だった。


貴也はマリナを好きになったばかりに、いいように使われているように見えた。


貴也自身もきっとそれは理解している。


それでもいいと思えるくらい、マリナのことが好きなのだろう。