「別れたよ。当然でしょう?」


マリナは腕組みをして眉を寄せた。


よほど弘志に悩まされていたようで、その名前を出すだけで雰囲気が変わる。


「弘志ね、処女が好きなんだよ」


マリナはそう言うと、あたしを見つめた。


その視線に背筋がゾクリと寒くなる。


どういう意味で言っているんだろう……。


「じゃ、あたしたちは帰るね」


すべて話し終えたマリナは貴也と手をつないで歩き出す。


「待って!」


咄嗟に手を伸ばすけれど、2人には届かずに体のバランスを崩してこけてしまった。


教室を出る寸前、マリナが振り向いた。


そして笑みを浮かべ……行ってしまったのだった。