リアル彼氏

☆☆☆

それからは平凡な日常が過ぎていった。


手紙の返事をもらえなかった美弥が、貴也のことをあきらめたからだった。


でも、実際は胸の中で思いを抱えたままなのだということは、美弥を見ればすぐにわかった。


教室内にいても、美弥は自然と貴也のことを目で追いかけているからだ。


「なぁ、次はどこに行く?」


1年生の3学期。


あたしは完全に貴也に飽きてしまっていた。


それよりも、最近は隣のクラスの弘志のことが気になっている。


少し悪ぶっていて幼稚っぽいけど、見た目は貴也に負けていない。


貴也とは結構長く付き合ったし、そろそろいいかなと思っていた。


「別れようよ」


「え?」


貴也はあたしが何を言ったのか理解できなかったみたいで、笑顔をうかべたまま、ハテナマークを頭上にかかげていた。


「あたしたち、別れよう」


あたしは一方的にそう伝えると、貴也を残して教室を出たのだった。