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正直、1人で○○ランドに行くのは少しさみしかった。


あの広い園内で貴也に会えるかどうかもわからなかったし。


それでもあたしは1人で○○ランドへ向かった。


入場ゲートに並び、中へ入ると途端に夢の世界だ。


1人でいることなんて気にならなくなってしまった。


ウキウキとした気分でパーク内を歩き、いくつかのアトラクションにも乗った。


1人で来ているから、誰にも気兼ねなく遊べるのはいいかもしれないと思った時だっ

た。


前方から歩いてくる貴也を見つけたのだ。


あたしはハッと息をのんで咄嗟に近くの物影に隠れた。


顔だけ出して確認すると、貴也の横には小学校5年生くらいの可愛い女の子が歩いている。


きっとあれが妹なんだろう。


まさか本当に貴也と会うことができるなんて思っていなくて、緊張しはじめる。


しかし、正直言ってあたしの男性経験は沢山ある。


小学生のころからよく告白されていたし、貴也くらいのイケメンと付き合ったことも何度もあった。


だから、あたしの緊張はすぐにほどけていった。


偶然を装って近づくことも簡単だ。


貴也と妹さんが近付いてきたタイミングで、あたしは2人に背中を向けて歩き出した。