トラップ教室

佐竹はゆっくりと光平へと視線を移動させた。


「なにしてんの? 早く、火」


光平はタバコを口にくわえて含み笑いを浮かべている。


一瞬、佐竹が大きく目を見開いた。


と、思った次の瞬間。


ドカッ! と鈍い音がして、光平の体が壁際まで吹っ飛んでいた。


くわえていたタバコは床に落ち、倒れこんで呆然としている。


佐竹は握り締めた拳をゆっくりとさする。


「な……なんだよ」


光平の声が震えていた。


怯えた目で佐竹を見ている。


こんな弱々しい光平を、あたしは見たことがなかった。


「授業を進めます」


光平の頬を殴り飛ばした佐竹は静かな声で言い、何事もなかったかのように黒板へ向き直ったのだった。