トラップ教室

「ここの文章は……」


佐竹はまるで念仏のように授業を進める。


誰も聞いていないのに、黒板に向かう。


カッカッとチョークを走らせるが、それも無意味に消されていくだけだ。


「あ~あ、つまんねぇなぁ」


光平が大袈裟にそう言い、席を立ちあがった。


真っすぐ教卓へと向かう。


他の生徒たちがその姿を興味津々で見つめた。


なにをする気だろう。


きっと面白いことをしてくれるはずだ。


そんな期待が膨らんでいく。


光平は教卓の前まで来ると、ポケットからタバコを取り出した。


ブハッと、誰かが噴き出して笑う声がする。


「先生、火」


佐竹へ向けて言う光平。


さすがにそれはまずいんじゃないの?


心の中でそう思っても、口には出さない。