トラップ教室

「先生、このままじゃホームルームができませんよぉ?」


梓が手鏡を取り出し、メークを確認しながら口だけを動かし、佐竹を被弾する。


「そうだよね。あたしもそう思う」


そう言ったのは優香だった。


あたしは驚いて優香を見る。


優香の目は輝いている。


獲物を見つけた時のような目ではない。


ただ純粋に、真実を知りたがっているのだ。


「ここまで知られているんだから、隠さないでください」


優香は真っすぐに佐竹を見て言った。


教室内がシンと静まりかえる。


耳に痛いほどの静寂。


そして……佐竹はなにも言わず優香から視線を逸らして、黒板を消し始めたのだ。


その態度にクラスの半数以上の生徒がブーイングを起こした。


逃げるな。


ちゃんと説明しろ。


なにも言わないってことは、事実なんじゃないのか。


様々な言葉が佐竹の後ろ姿に投げかけられる。


それでも佐竹は反応しなかった。


そして反応しないことで、3年E組での佐竹の地位は最下位へと落ちたのだった……。