トラップ教室

ホームルームが始まる少し前、佐竹が教室に入ってきた。


その瞬間聞こえてくる忍び笑い。


黒板を見た佐竹は一瞬動きを止め、それからこちらへ向き直った。


鋭い眼光があたしたちを射抜き、教室内は静まり返った。


でも、それもほんの一瞬の出来事だった。


「先生、ストーカーってどういうことですか? 説明してください」


そう言ったのは光平だった。


光平は両足を机の上に投げ出して佐竹を睨み返している。


「あたしも知りたいで~す!」


光平に便乗したのは梓だった。


この2人が教室の空気を簡単に変えてしまった。


ついさっきまで佐竹の眼光にひるんでいた他の生徒たちが、ヒソヒソと噂話を始める。


「まさか本当のこと?」


「イジメを見て見ぬフリっていうのは本当だよね」


「じゃあストーカーも本当のことなんじゃないの?」


最初は小さかった声が、徐々に大きくなっていく。