トラップ教室

「開いてよねぇ! だって終わったんでしょう!? 響は見つかったんだから!」


ガンガンガンッ!


拳が痛くなるほど窓をたたく。


そんなあたしを優香が哀れな表情で見ているのがわかった。


それでもやめられなかった。


自分の拳が痛くなれば痛くなるほど、現実が少しずつ改善されていくような、そんな夢みたいな願望が浮かんでは消えていった。


「やめろよ夏美」


響の声にあたしは動きを止めて振り向いた。


手足のしびれがマシになってきたのか、ようやく1人で立てるようになっている。


「なによ、響だって外へ出たいでしょう!?」


「出たいに決まってるだろ! だけど、そんなことをしても意味はない!」


響がいつもの声色で言って、あたしの手を強く掴んだ。


こんな状況なのに、その温もりに一瞬心臓がドキリと跳ねてしまった。


それを悟られないよう、響から視線を外す。


「外へ出るなら、昇降口へ行こう。それから考えるんだ」


冷静な響の声に、あたしはキュッと下唇を噛みしめた。


響の言うとおりだ。


3階の窓を開けたって意味はない。


「行こう、夏美」


響はあたしの手を握り締めて、廊下を歩き始めたのだった。