今夜、この恋が壊れたら、

きっとこの人は私を納得させる天才だと思ったほど、彼の言葉がすーっと私の中で優しく溶けた。



「すごいね、終わりって」
「さっきと言ってること違うけどな」

「いいじゃん」
「うん、いいよ」



終わりが見えたら、私はもっとはやく彼と向き合えたのかもしれないけれど、終わりが見えることなんてほとんどないだろう。

それでも私は終わりが見えないこと、と見えること、どちらも輝いている気がした。



終わりが見えるから大切にできるのかもしれないけれど、終わりが見えないからこそ何が起こるかわからなくて、面白いのかもしれない。



きっとどちらも別の輝きがあって、
ほんとうに不思議な世界だった。

そして、不思議な世界ももう直幕を閉じる。