今夜、この恋が壊れたら、

もう消えてしまうというのに、伝えたところで何も変わらないし、今更なんだよって思われてしまうに決まっている。

いましか、最後だってわかった瞬間しか、自分の想いを伝えられない自分に嫌気が差した。



私は何をしていたのだろう、と自己嫌悪に陥ったとき、隣で寝転んでいた彼が私を抱きしめた。ふわっと鼻を掠めた懐かしい匂いに包まれて、あのときのような温かさが私を包み込む。

さっきまで顔ひとつぶんあった距離が一気に縮まって、彼の顔と私の顔がほぼゼロセンチになっていた。



「なにそれ」と耳元で言った彼は不機嫌で、やっぱり怒らせてしまったのだと思ったとき、「ほんとにおっそいよ」と彼がわらった。

怒られると思ったのに、嫌われると思ったのに、わらっていた。



「でも、俺もちゃんと寄り添えてなかったよな。別れたくないから気持ち聞こうとしないで、ずっと待ってた。戻れるって信じながら。そんなことしたって変わんないのにさ、」
「うん……」