不機嫌になったり、切なそうになったり、意地悪な顔をしたり、急に"男の人"になるそうちゃんに翻弄されていて、わたしはうまく言葉にできない。



「ドキドキする……」
「お返しだから。もっと意識して」



そうちゃん?と聞こうとしたとき、そうちゃんの片手がわたしの後頭部に回って、もう片方の手で腰を引き寄せられて、視界を遮られた。

ん、と自分の唇にさっきまで弧を描いていた唇が重なって、急いで目を開けると長いまつ毛を伏せているそうちゃんがいた。



「そ……ちゃん…………っ」

呼びかけても反応してくれなくて、不安になったわたしはそうちゃんの首に自分の腕を回す。そうすると目を開けたそうちゃんが「ごめん」とわたしの髪を撫でた。




「別に嫌じゃなかったっていうか、ドキドキして」
「嫌じゃないんだ?」

「うん」
「またそういう一言が俺を煽るんだよ」