ぼんやりとした視界が、次第に鮮明になって、目の前にいる彼をハッキリと映しだした。
がっ…君?
制服姿のがっ君が、心配そうにわたしの顔を覗き込んでいた。
「桜…?目が覚めたかい?」
「がっ、君…?」
「ああ、よかった…なかなか目を覚まさないから、心配したよ…」
安心したように胸を撫で下ろして、わたしの頭を撫でたがっ君。
わたしは、段々と覚醒していく意識の中、1つの疑問が浮かんだ。
…ここ、どこ?
視界の先…がっ君の奥に見える景色は、見覚えのないもの。
わたし…どうして眠ってたんだっけ…?
必死に思考をフル回転させ、こうなるまでの経緯を辿った。
確か、がっ君の部屋にお茶をしに行って…
そこでがっ君が、豹変、して…
何かを、飲まされたんだ。
ぼんやりと、狂気に満ちたがっ君の顔を思い出した。