「………良い子、だったのに」



わたし、何を、飲まされたの…?



「僕から逃げたいなんて言う、悪い子になるなんて…悲しいなぁ…」

「がっ君…なに、こ、れ…」

「ははっ。でも、ダメだよ桜子」



薄っすらとし始める意識の中、視界はもうほぼ色をうつさない。

目を開けているのも辛くて、ついに重たい瞼を閉じる。



ふらりと椅子から倒れる感覚がしたけれど、すぐに温かいものに包まれた。



「桜は俺から逃げられないんだ。ずっとずーっと、一生ね」




意識を手放す寸前に、聞こえた声。



「おやすみ…俺のかわいいかわいい桜子…」





ーーそれは、狂気の混じったものだった。




がっ君に抱きしめられ、わたしは深い、眠りについた。