ついに瞳から溢れた涙が、頰を伝った。



「ほんとうは、こんなことしたくなかったんだけど…」



…な、に?


突然急須を手にとって、自分の湯のみにお茶を注ぐ。

それをわたしの口元に当てて、無理矢理飲ませて来た。



「ほーら桜、飲んで」

「んっ…んんっ…!」

「はい、ごっくんは?」



口内に流れてきた温いお茶を、反射的に飲み込んでしまった。

急な出来事に、苦しくて咳き込んでしまう。



「ふふっ、苦しくて目がとろんってなってる。かーわい…」



そんなわたしをまじまじと見つめて、がっ君は舌舐めずりをした。



あ、れ…?


視界が、ぼんやりとし始める。



「良くできました。桜は良い子だね…」



目の前のがっ君の姿もぼやけ始めて、意識が朦朧としてきたのがわかった。