「…………そっか」



意味深にそう言って、がっ君はゆっくりと立ち上がる。

わたしはもうただただがっ君を見つめることしか出来なくて、冷や汗は頰にまで伝っていた。



「…あーあ、あと少しだったのになぁ…」

「がっ君…?どう、したの…?」


「………はっ…はは…はははははっ…」



ーーーおかしい。


乾いたような笑い声に、ついに身体が小刻みに震えだす。

笑っているのに、目は笑っていない。

目の前のがっ君が、たまらなく怖かった。


今すぐこの場から逃げ出してしまいたいのに、恐怖で身体が動かない。


こ、怖いよがっ君…どうしちゃったの…!


ゆっくりと、一歩一歩、わたしに近づいてくるがっ君。

わたしの眼の前で止まって、目線を合わせるようにしゃがみ込んだ。


にっこり。そんな効果音がなるんじゃないかと思うほどの、作り笑いが向けられる。