「教室で、誰と何をしていたの?」
和菓子を食べる手は止まり、身を強張らせる。
心臓はドキドキと鼓動を打つ速さを増して、暖房がついているはずなのに、身体が急速に冷えて行く感覚に襲われる。
さっき…ごまかせたはずだったのに。
どうして、また同じことを聞いてくるの…?
「だ、だから…絆創膏をとりに…「難波徹」
ビクッ。
あからさまに反応してしまった。
だって…そんな…どうして…
ーーわかった、の…?
わたしの中の危険信号が、激しい音を立てて鳴り響いた。
「桜はほんとうに、嘘をつくのがヘタだね」
黙り込んだわたしの反応を肯定ととったのか、確信したようながっ君の声。
「……何をされたの?」
「な、なにもされてないっ…!」
「それじゃあ、言い方を変えるよ」
どう、しよう、どうしよう…
上手な言い訳もこの状況から抜け出す術もわからず、混乱して泣きたくなる。

