ーードキドキドキ

鼓動が、異常なくらい速い。





「…………そっか」



数秒の沈黙の後、廊下にがっ君の低い声が響いた。

首筋から伝う冷や汗が、ジャージの中に侵入して気持ちが悪い。



「早く戻ろうか?」



次に聞こえた声は、いつもの優しい声だったけれど…

わたしはプールに戻るまで、たったの一度も、がっ君の顔を見れなかった。



ーー1日はまだ、始まったばかり。





【第1章】王子様とわたし。-END-