厳しいなんてものではない、これはもう、差別の域に値する。
ご先祖の代で、何やら問題が多々発生したらしく、いくつもの決まりが定められたのだ。
そしてその中に、添い遂げるもの以外の異性の前で、胸元や膝上が露になる格好をしてはいけない、というものがある。
いわゆる、露出の激しい格好をしてはいけないのだ。
そのため、わたしは幼少期から一度も水泳の授業に参加したことはなかった。
今日から、体育の時間が苦痛になりそう…。
「さあ、桜。ついたよ」
わたしがそんなマイナス思考に陥っている間に、車は学園へ到着したらしい。
がっ君は先に降車して、わたしに手を差し伸べてきた。
ほんとうに、紳士的でスマート、がっ君は素敵な男の人。
そう、誰もががっ君に魅入られて、
誰もががっ君を好きになる。

