がっ君は、とっても優しい。
朝が弱いわたしを、毎朝こうして起こしてくれて、夜には寝るまでそばにいてくれる。
わたしも、この1週間は素直にがっ君に甘えられていた。
"一ヶ月"という期間を定めてから、がっ君との距離が縮まった気がする。
残り、3週間か…
「わっ、オムレツ…」
「桜はオムレツが好きだね」
「うん!大好き…!」
テーブルに広がる料理の中に大好きなものを見つけて、思わず目を輝かせた。
わたしのお家は和食しか出されないから、洋食のみの京極家のご飯は毎日とても美味しい。
特に、オムライスとオムレツ…あと、プリンが大好きだ。
オムレツにはしゃぐわたしを見て、がっ君が嬉しそうに笑う。
"俺も、オムレツになりたいなぁ…"
まさか彼がそんなことを思っているだなんて知る由もないわたしは、呑気に手を合わせて朝食をいただいた。
そして、私たちの関係を跡形もなく壊す一日が、幕を開ける。

