あんなやつを、桜のそばに置いておけというのか。
………ふざけている。
「あんたね、まだ高校に入学して半年と少しよ?それなのに、何人退学にしろって言えば気がすむのよ…」
目の前の母親は、そう言って呆れたように溜息をついた。
そんなことを言われたって、最近は落ち着いたはずだ。
噂も広まって、桜に手を出そうとするやつなんていなくなっていたから。
入学当初は、それはそれは大変だった。
どいつもこいつも、隙あらば桜に近づこうとして…
…まあ、そんなやつらは、俺がきちんと処分したけど。
今ではもう女でさえ、桜の美しさを眺めてはいるものの、話しかけようとはしない。
ひとりぼっちの桜。
でも…これでいいんだ。
桜には、俺だけでいいでしょう?
「仕方ないよ。桜が無意識に、他の男を惑わせるんだから」
「そりゃあーんな綺麗でかわいい子、年頃の男の子が放っておくわけないじゃない。ヤキモチ妬くのもほどほどにしなさい…全く、キリがないじゃない」

