【完】君は狂った王子様。



「ごめんね…?ありがとう」

「僕が提案したんだよ?謝らないで、ね?」



きっと、がっ君はわたしのことを妹のようにかわいがってくれている。

この笑顔は、そういう愛を含んだ笑顔だと思うんだ。


……そうだ。


一ヶ月間、たくさんがっ君に甘えよう。

心残りが無くなるように、住まわせてもらうこの一ヶ月は、たくさんお世話になろう。


そして、この一ヶ月が終わったら…


ーーがっ君を、ちゃんと解放してあげよう。

わたしから、婚約破棄を申し出るんだ。



そう思うと、とても悲しくて、とても辛い。

けれど、一ヶ月という猶予が出来て、心が軽くなった気がした。



「がっ君…」



ベッドの縁に座って、がっ君の腕に控えめにしがみついた。