そして、いつものようにスマートフォンを取り出して弄り始める。


誰かとメールしてるのかな…。

わたしといても、つまらないよね…朝も、わざわざ迎えに来てくれなくて大丈夫なのに…。


何度も、言った。

一人で通えるから、大丈夫だと。


でも、がっ君は何度行っても、送り迎えを止めてはくれなかった。


どうせ同じ場所に行くのだから、一緒に行けばいいだろうと。


"桜は、僕の大事な幼なじみで、婚約者なんだから"…と。




それだって、がっ君はほんとうは嫌なはずだ。

がっ君は、わたしなんかと婚約者になってしまって、嫌だと思っているはず。



幼なじみと言っても、わたしの家系とがっ君の家系が系列会社で、小さい頃から高校生になった今まで、ずっと同じ学校に通っているというだけの話。


婚約だって、親が勝手に決めたんだと思う。