改めてそう思うと、なんだか心がちくちくと痛んで、わたしは窓の外を見つめた。
がっ君の家が見えて、それはさらに痛みを増す。
どこかの国のお城かと思うほど、大きなお家。
高くて立派な塀に囲まれていて、真っ白の門が車を迎い入れるように開かれた。
京極財閥の一人息子。
がっ君はいつでも来ていいよって言ってくれたけれど、この場所がわたしを歓迎しているかはわからない。
停車して、中村さんが扉を開けてくれる。
わたしはそのまま、お手伝いさんに連れられがっ君の部屋へ案内された。
重たい足取りのまま、懐かしい廊下を進む。
「どうぞ、ごゆっくり」
がっ君の部屋の前について、お手伝いさんは会釈をした。
わたしも「ありがとうございます」と頭を下げて、久しぶりに目にしたがっ君の部屋の扉を見つめる。