担任の先生に、「ごめんなさい」と心の中で呟いて、廊下を走った。



下足に履き替えて校内を出ると、正門の手前にがっ君家の車が停められているのが見えた。

真っ直ぐに、そこへ駆け寄る。


運転席から、お手伝いさんの中村さんが出てきた。



「勤勉おつかれさまです、白咲さま。牙玖さまから話はお聞きしておりますので、どうぞ」



後部座席の扉を開けてくれて、それに頭を下げる。



「ありがとうございます…!お願いします」



ありがたく乗車させていただいて、わたしはがっ君の家へと向かった。




がっ君の家に行くなんて、いつぶりだろうか。

高校生になって、初めてかもしれない。


最近…わたしの方から、がっ君のことを避けていたから。


高校生になって、さらにたくましくなって、生徒会長まで努めて、


そんな彼の隣にいるのが、苦しくなってしまったんだ。


自分に自信がない、なんの取り柄もないわたしとは、住む世界が違う人。