うっ…ほ、ほんとに、するのかな…っ?



「美しい姫。どうか目を覚ましておくれ」



がっ君が、跪く音が聞こえた。

すぐ近くに、顔が寄せられた気配がする。


心臓はドキドキと煩くて、下唇を噛み締めた。



「桜…力、抜いて」



わたしだけに聞こえるような声で、囁かれる。

そんなこと、言われてもっ…。



「身構えちゃって…かわい…」



がっ君は、ふっ…と笑って、わたしの唇に自分のそれを重ねた。


ーーっ、ほ、ほんとにしたっ…!




「ちょっ…ほんとにキスしてないあれ?」

「きゃー!白雪姫の女の子いいなぁー!」

「王子羨ましすぎるだろ…」




客席が一気に騒がしくなって、わたしは今すぐにここから逃げたくなった。