もといがっ君は、いつも決まってその質問をする。

はじめはどうしてそんなことを聞くのだろうと思ったけれど、最近その理由に気づいた。



「桜海老昆布と、お味噌汁、富士山豆腐、赤甘鯛の煮付けに…今日は水物に葡萄と桃の寒天も付いてたよ」



わたしの言葉に、がっ君は笑顔で頷く。

がっ君は、とても優しい。


地味でつまんなくて、楽しい話一つできないわたしとは違う。

がっ君はこんなわたしとも頑張って話そうとしてくれる。

話題がないから、こうして必死に考えてくれているんだ。


優しいなぁと思うけど、気を遣わせていることがとても申し訳ない。



「残さず食べた?」

「うん。ちゃんと食べたよ」

「そっか、えらいね。桜は少食だから、いつも心配だよ」



わたしの頭を撫でて、がっ君は再び笑った。