収まらない怒りを露わにするがっ君に、わたしは黙って首を横に振った。
「お願い…やめてっ…綾小路さん、もう行って大丈夫だよ…!」
「…っ…!」
綾小路さんは、覚束ない足取りで、逃げるようにカーテンの奥へと消えていった。
ひとまず、安心して胸を撫で下ろす。
けれど、そんな安息は一時凌ぎに過ぎない。
「…………どうして逃しちゃうの?」
しがみつく腕に力を込めて、わたしは瞼を閉じた。
「がっ君が何かする必要ないよ」
「あいつは桜をいじめたんだよ?わかってる?」
「そ、れは…」
「そういう優しいところ、大好きだけど…俺の気持ちも考えて」
「……っ」
「昨日桜に距離を置きたいって言われて…俺がどれだけ焦ったか、頭ん中真っ白になったか…わかってる?」

